●1回生/社会人学生
私の趣味は冬キャンプです。テントはWAQというメーカーのワンポールテントを愛用しています。
ある時の明け方、テントの上を大勢の小さい何かが、小さい爪を立てて走っていく音がしました。私は「絶対何か可愛いのが来た!」と喜んでテントを開けてみました。
それは、いつの間にか降り始めた雪がテントに乗る音でした。
言葉にしたせいで、聞いたはずの本物の音と、イメージが違ってしまったのだと思います。
私は、人に何か説明したり、わかるように話すのが苦手なので、こんなふうに「言葉で伝える」ということについて考えることがあります。
先月、学長の公開講座を聞きに来られた方が、
「この学校でも通信教育を導入されたら良いのにと思っていたが、実際にこの場に来て、お寺の静けさを体験したり、学長を目の前にしてお話を聞いたりしてみると、(正眼短大においては)通信教育なんて浅はかだったと思う」というようなお話をしてくださいました。リモートで、言葉だけで伝えられることは、その場にいて伝わることのほんの一部でしかないということだと思いました。
言葉で伝えると言えば、春学期に寮で一緒に過ごしたAさん(外国人)とはたくさん話しました。言葉を尽くして話したつもりでしたが、少しの理解のずれが、どんどん誤解に繋がっていくことを感じていました。理解できないし、伝わらないジレンマで、言葉なんて本当にままならないと思っていました。
でも最近、ほとんど意味の分からない回向に、震えるほど感動したこともありました。法鼓の音に誠実さを感じるとか感じないとかの話もありました。
これは、言葉でなくても、「発した何かが何かを伝える」ということだと思います。
そう考えると、「言わなければ伝わらない」とかは嘘だと思うし、喋るからには言葉を丁寧に使おうと思うし、何より、相手が言葉にしなくても、大事なことはしっかり感じられるようになりたいと思います。